人間を装った悪魔たち

あの時あの事がなかったら今頃はどうなっていたのだろう。 人は新しいものが好きで欲望深くて愛されたくて仕方ない生き物だということを改めて知った。

一番の理由

晃くんは気付いていたのだろうか姉の変化を・・・



晃くんなりに毎日本当に頑張っていた。


本業の他にバイト的な事も始めていた。


大家族にはお金は一番大事なのかもしれない。


贅沢しなくても毎日お金がかかる。


でも幸せってなんだろう?


日に日に晃くんと姉の間に温度差が生じ始めた。


姉は記憶をなくすぐらい飲み明かす日が増え、飲むのが苦手で酔っ払いが嫌いな晃くんが呆れる事が増えた。


姉なりにも純粋に頑張っていたと思います。
ストレス発散したかったのもわかります。


下の子がまだ小さいうちから働き始めて夫婦で頑張っていました。
晃くんが昼間働いて姉が夜働いてと助け合っていました。
(キャバとか飲み関係ではないです)


誰だって身を削って働かないで大金手にして楽したいですよ。


でも目的や守って支えたいものがあるから人は頑張るんです。


それで良かったのに。


悪魔が舞い降りた。


「そんな頼りない旦那って何の意味あるの?俺なら金に困らない生活させてあげれるぞ!」


「そんなつり橋効果みたいな始まり方で上手くいくわけがない。現に今お前は不幸なんだから。」


「毎日頑張っても苦しいなら自分で変えていくしかない。こっちにこれば欲しい物が全てある。」


そんな甘い誘惑にまんまと引っ掛かったバカな姉はすぐ悪魔の手下になった。

突然変異

前回からの続きです。



それは突然やってきた。


ガラケーからスマホになり、SNSも日常に普及してきてみんなが食い付き始めた時。


姉は出会ってしまった悪魔と。


当時姉が言っていた。


姉「良介はなんでも知ってる。なんでもしてくれる。早くこんな人と出逢いたかった。」


それからは今まで大事にしてきたものを全て捨て始めた。


子供との会話、家族との談話、寝る時間。


毎日いかに良介さんと繋がっていられるかしか考えなくなった。


晃くんと子供たちがお風呂に行ったのを見計らって良介さんと電話。


買い忘れたものあるから出てくるって言って良介さんと電話。


いつもの倍以上の洗濯物を毎日洗ってその間に良介さんと電話。
↑当時の姉の家は洗濯室が地下にあり密室でした


出勤する車でも出勤してからも帰りの車でも良介さんと電話。


もう姉の毎日の中には良介さんで溢れていて、頭の中は良介さんでいっぱいになっていた。


浮気や不倫している人がバレる理由はなんとなくわかる。
普段しない事したり妙にテンションが高かったり外見にこだわり始めたりするからね。
周りはすぐ気付くのに本人はお花畑に居るからそんな事も考えられない。


バカだよね。


姉も普通の主婦で普通の母親だった。


コミュニケーション能力が高かったので友達もママ友も職場の人達ともいつも楽しそうにしてた。


なんの問題もなさそうにいつも笑ってた。


でも良介さんと出会ってからガラッと変わった。


今まで言わなかった不満も愚痴もいきなり多くなったし、イラついたりすぐ怒ったり、家族と居ても心ここに在らずというのが見るからにわかった。


その理由がだんだんとわかってくる。

悪魔のささやき

前回からの続きです。



晃くんも姉も子供が好きで、1人産んでさらにその気持ちは高まり2人3人と立て続けに産みました。


家族もみんな子供が好きで本当に喜びました。


ただ。


晃くん1人の収入では家族5人が満足に生活する事が難しかったため、家族も出来るだけのサポートはしてきました。


私は毎月いくらか援助してました。
母は子供見るから夫婦で美味しい物食べておいでってお金渡したり普段も子供達だけでもご飯食べに来させたりしてました。
父はたまにだったけど買い物や温泉に連れて行きました。
祖父母は無償で子供たちの面倒をほぼ毎日見てました。
晃くんの親や晃くんの兄弟も服やおもちゃを買ってきたりいっぱい可愛がっていました。


みんなで助け合って贅沢しなくてもそれで成り立っていました。


子供たちは満足いく生活を送れてても女王気質な欲張りな姉の中では満たされていなかったのかもしれません。


あの人との出会いでその本能が開花してしまったのか。


ささやかでも小さくても暖かくて幸せな日々を一瞬でぶっ壊した。
晃くんにも晃くんの身内に冷たい目で見られても強気だった。


思ってるより人間の欲情って深いのかも。


周りの複数の人の支えより1人の男を選んだ姉。


あの悪魔に一体家族の何がわかるというのだろう。