人間を装った悪魔たち

あの時あの事がなかったら今頃はどうなっていたのだろう。 人は新しいものが好きで欲望深くて愛されたくて仕方ない生き物だということを改めて知った。

憂鬱なランチ

翌日。



平日で息子は学校へ、私は忌引きでもう一日お休み頂いてたのでたまった用足しをしようと繰り出した。


するとその出先で偶然にも母に会った。


母も色々手続きとかで姉と一緒に出てたみたい。


昼時だったのでこのまま近くでランチして行かないかと誘われた。


かなり悩んだ。


すかさず母が。


姉はランチ後すぐ帰らなきゃならないからそんなに時間もないし軽く行こうって。


こんな時にうだうだと母に余計な迷惑は掛けたくない・・・


しぶしぶ行く事にした。


この洋食屋さんは昔から好きで家族でもよく来てたとこ。
変な思い出が蘇りなんか更に複雑な気分になった。


姉は珍しく携帯もいじらず昔話を楽しそうにしてた。
そして子供の事や祖父母の事なども話した。


良介さんの名前や話は一切でなくそれもきっと良かったんだ。


この時は昔私が好きだった姉の姿だった・・・


ごく自然な家族の空間だった。


母も嬉しそうに楽しそうにしててなんか胸の奥がキューっと熱くなった。


あんなに嫌だと思って、行きたくないと思ってた自分に少しだけ後悔した。


こんな仲良しな家族を捨てたんだよあなたは・・・
ねぇ。なんとも思わないの?


そんな気持ちをよそに姉は子供たちの話や向こうでの生活の話など話してた。
いまいちどれもピンとこない話ばかりで嬉しい気持ちとかではなくよその人の話を聞いているみたいだった。


なんだかんだで小一時間のランチがあっという間に終わった。


出てから私はその場でバイバイした。


別れ際に一番の笑顔で手を振れた。


家に帰ってからは少しセンチメンタルになってた。


祖父母が死んだ事、姉の事・・・


色んなことが頭を駆け巡ってしばらくボーッとしてた。


するとスマホが鳴った。


早速姉からのメッセージだった。


「きっとさーじいちゃんとばあちゃんが引き合わせてくれたんだね!久々会えて良かったよ。なんかあったらLINEしてね!」


姉からのその言葉が素直に胸に響いた。


返事を返してすぐまたスマホが鳴った。


今度は母からだった。



「お父さん途中まで送って行ったんだけど、いつこっちに遊びに来るの?むしろみんなでこっちで住もうってしつこかったって(苦笑)」




うぉぉぉーい!