人間を装った悪魔たち

あの時あの事がなかったら今頃はどうなっていたのだろう。 人は新しいものが好きで欲望深くて愛されたくて仕方ない生き物だということを改めて知った。

来ないでと願ったその日

引っ越し当日。


夕方に出発するとの事で姉は朝から最終準備に追われていたので、3人を連れ出した。


思い出の地を車でグルリと巡った。


何時間後には本当に離れてしまうのか信じられないぐらいいつも通りの時間が流れた。


よく来た公園で遊んで、よく行った大好きなお店でランチして、地元が見渡せる場所でソフトクリームを食べて、プリクラも撮った。


最後に楽しい思い出が作れた。


時間ギリギリまで沢山話した。



そしてついにその時間が来てしまった。


姉が実家に来て最後の挨拶にきた。


父も母も私も祖父母もみんな集まった。


さっきまでの楽しい時間から一変。


長男は言葉少なめで明らかに低いテンション。
長女は息子と戯れてる。
次女寂しさを誤魔化すように変なテンション。


朝からずっと気が重かった私。
さっきの思い出がさらに重くのしかかった。


少し長い旅行に行くだけ!また絶対会える!


そう思って涙をグッと堪えた。


あっという間に出発の時間。


みんな泣くのを我慢した。


こんなつらい事経験したくなかったな。


今までの楽しかった思い出が走馬灯の様に駆け巡った。


子供達4人でお揃いの服来てお出掛けした事。
家族全員で最初で最後のディズニー行った事。
誕生日の時ケーキ争奪戦になって切り分ける前にみんなで突っつきあってた事。
みんなで一緒にお風呂入って同じ部屋でみんなで寝た事。
TVゲームで白熱した事。


みんなの発表会や運動会は全部行ったなぁ。
親の気持ちだった。


この先近くで成長を見ることは出来ないんだ・・・


やっぱり家族は近くに居たいなぁ。


私達家族よりも大事な物を見つけた姉。


納得出来なかったけど・・・
決めた事は仕方ないし、自分の人生だしね。


車を見送った時の両親の寂しそうな後姿は忘れない。