人間を装った悪魔たち

あの時あの事がなかったら今頃はどうなっていたのだろう。 人は新しいものが好きで欲望深くて愛されたくて仕方ない生き物だということを改めて知った。

本格的に動き出す

姉は良介さんが住んでいる場所に行って、物件の下見をしてくると言った。



その日が2人が初めて会う日となった。


その日の何日か前からは更に育児放棄に拍車が掛かった。


「いやー何着て行こう?これでいいかな?」


もう行く事だけで頭がいっぱいのご様子。


「ママーあれどこにあるんだっけ?」


「自分でしまったんだから自分で探しなさい!」


「ママこれどうやるの?」


「ばあばに聞いて!」


携帯から目を離さずにそう言った。


コイツ本当母親か?
外見は変わらないけど姉のマスクを被った悪魔じゃないのか?


そう思わざるを得ない雌悪魔の姿。


そして当日。


「行って来るわー!なんかあったらすぐ連絡して!」


ルンルンで駆けていく姿はホント一人の女でしかなかった。


子供たちはなんだか複雑な感じで見送っていたが姉はそんな気持ちなんて考えてもいないだろう。


「お土産いっぱい買ってくるから良い子でねー!」


物で気持ちを操るな!
良い子で居てねーじゃないわ!
言われんでもあんたより子供たちの方がよっぽどしっかりしてるわ!


情けない気持ちで姉の後ろ姿を見送った。